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コラム
2001 Vol. 5 PDF 版


NKK と川鉄の経営統合は世界的傾向とはいえ、日本は重厚長大産業から新しい産業構造への脱皮過程にあるのか?

重厚長大といえば造船所も然り、合併統合が具現化し、造船業は最早先進諸国では存命しにくくなっている感もあります。大手造船所は造船が一部門で、他機械産業を抱えており、変換可能な素地があります。

鉄鋼・造船は日本経済を支えてきた labour intensive (労働集約) 花形産業ではありますが、将来を観るにいずれ欧米の現状の如しとなりましょう。戦後インフレ経済の過程で、日本は一業種で必要以上の多数企業が存在し、それがまかりとおってきましたが、バブル以降金融、建設業界も淘汰整理されている現状にあること間違いありません。政治も然りです。神様、仏様が21世紀に突入して日本国家の世直しを実行されているわけで、避けて次世紀へ移行できません。重厚長大産業は中進国へ移行しつつあることは明白ですが、先進国でも皆無になることは絶対ありません。経済を支える基幹産業としてこれからも存在しますが、要するにリシャッフル・リストラクチャーされる時代に突入しているということです。


海運業は他産業に比べて "海運集約" で例を見るように早い時代に対応してきております。鉄鋼業界の経営統合があっても、中国に大型鉄鋼所が建設されても、海上輸送の絶対量に大きな変化はありません。但し、外航、近海、内航に亘り地政 (geopolitical) を把握して生き抜くことがより肝要となりましょう。"ゆけゆけドンドン" 、"走ってから考える" はインフレ時代の標語で正解ですが、これはもう駄目です。"走る前に考える" のが正解でしょう。

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