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コラム
2003 Vol. 2 PDF 版


地政学的には不安要素の何かと多い世の中で海運市況は今年当初より好調に推移しております。同慶の至りです。イラク陥落は米国にとって予測以上に手間どったのでしょう。その筋の有識者の話では "1週間" と仄聞しておりました。兎に角後始末が大変です。救援物資食料と思しき荷物がペルシャ湾に向けて頻繁に動いており入札方式とは言え結構高い運賃で決まっていると思われます。ささやかとは言え底上げを支えているのでしょう。

特にケープを始めバルカーの市況は異常な程加熱しております。かかる事が今年一杯続く事は絶対ありません。昨年までは大西洋 (ATLANTIC) が好調で此れを背景に日本船主が海外傭船者の長期用船でかなりの新造需要がありました。しかし今年初めより太平洋 (PACIFIC) が好転して ATLANTIC を凌駕した感がありました。これも全体的に底上げしたせいか ATLANTIC も PACIFIC も同様に絶好調と観えます。


絶好調の1つの理由として中国を無視することは出来ません。5年間上海に行っておられない方は是非一度行ってみて下さい。2008年のオリンピック開催に及び2010年の万博に向かってそれまでに経済失策は許されない事情もありましょう故此れから暫くパンクすることは無いでしょう。先日イタリアの友達が中国に発注した新造船の進水式に出席するのを止めた由。勿論 SARS が理由です。あらぬ事から飛び火するものですが納期後れの理由としては絶好の言い訳になりましょう。新規発注を躊躇する者もおるかもしれません。

日本も韓国も新造船受注は受注残ベースで記録的な量となっております。日本の大手中手造船は納期2006年ベースで真面目に受注しており交渉中です。流石に2007年納期は真面目にやってはおりませんが昨今のデフレ基調により先物手当てに危機感が無いのでしょう。海運市況は2006年迄予測は出来ません。要注意。要注意。

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