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コラム
2004 Vol. 2 PDF 版


歴史的には戦争、スエズ危機を背景にタンカー市況等が瞬間的に高騰した事例を見ますが昨年後半よりドライ市況の驚愕的な高騰は留まることがありません。洋の東西問わず海運識者は中国経済の "夜明け" (計画経済より市場経済に移行したこと "夜明け" と言うのでしょう) によるものと観ております。上がるものは下がる、上がる程度が大きいほど下がる程度はより大きい、過去の検証はありますが此れは恐らく当てはまりますまい。今後中国のオリンピック、万博に向かって中国景気、経済がどう発展し続けるか、皆様も時々中国にお出かけ何か目で肌で読み取られてはいかがでしょうか。安い賃金で価格競争力のある世界の製造業を営んでいる風情ですが、輸入原料、食料に必要な資金又電気、水不足等の問題は無いか ...

HANDYMAX の TC RATE 、1年もので検証しますと2002年1月が US$6,000 超、2003年1月が US$9,000超 、2004年1月が US$26,000 。売買市場では10歳もので2003年末 US$16Mil は1年前より50%アップ、5歳もので US$20Mil で1年前より40%アップ。ケープに就いては皆様御承知の通り上昇率は過去例を観ません。先物新造船価格より引渡し間じかのリセールのほうが遥かに船価高 ... と言うのは決して長く続くものではありません。神様仏様が許さないものなのです。

造船所も2003年度は受注量を増やし受注残は未曾有となりました。市況の高感度にもよるものでしょう。デフレ脱却感のある昨今、2007/2008年まで船価確定受注残を抱える造船所も、鋼材機器が6か月先物しかコスト確定出来ない現実ではあらぬ心配もありましょう。因みに1999年以来、日本、韓国、中国3カ国でバルカーは世界の建造量の90%、タンカーに至っては95%を占めます。韓国が1位 (2003年末受注残4,800万トン) 、日本2位 (同3,800万トン) 、中国3位 (1,500万トン) 。中国は2015年に1位になると豪語しており、恐らくそうなるでしょう。造船は高度技術が必要で多くの関連産業を育成しますが、この重厚長大型産業は低賃金地区に移行して行くのが歴史です。日本船主も何れ韓国、中国に発注する事が当たり前となりましょう。

ヨーロッパでは足元市況を "NEW MARKET" と言い今後の予測をする為に過去を検証するべきでない、としております。足元をスタートラインとして先を観て対応することが肝要と云っております。新しい自由な発想が可能と言うことでしょうか? 2004年は2003年に比べ全てに於いて平均値は上方改善される事は間違いないでしょう。しかし2005年の平均値が2004年を超える事は無いと観ます。早くてこの夏休み前、遅くてこの年末の市況に興味があります。

要するに "何時?" "どの程度?" 下方修正されて落ち着くのか? 少なくとも昨年前半レベルまで落ち込む事は無いでしょう。その市況レベルは業界にとって COMFORTABLE な範疇であることを祈念します。


世界の物流以外に各国の政治態勢、為替、イラク問題、疫病など海運に即刻影響する世の中の動きを常に横目で観ながら、より脇を締めながらお過ごし下さい。

"楽しみて蜀を思わず" (三国志) - 他郷での生活がたのしくて、故郷を恋しくおもわない。転じて、目先の楽しさに根本を忘れることをいう。

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