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コラム
2015 Vol. 2 PDF 版



中国で恒例の「全人代」が開催されました。世界の海上荷動きに多大の影響を及ぼす中国だけに毎回興味をもって注目しています。国防、技術革新、経済、汚職、格差問題、環境問題、民族問題等多岐に亘り発表され、全国各地より2000人余の代表が出席して、あまり質疑応答もなく決議され、各代表は各地方に持ち帰り決議を実行、実現するために努力するものです。我々としては、特に経済面での発表に興味がありますが、今年の実質経済成長率の目標を前年より0.5ポイント低い「7%」前後にすると表明。些かブレーキをかけて安全運転と云うところでしょうか?これを「新常態」(ニューノーマル)と表現しておりますが、経済発展の減速を容認したものの、良いように云えば、「安定的成長」を目指すものでしょう。

過去、景気の過熱時期には全人代での表明数値より高めで着地していたものですが、昨今諸般の事情による中国のジレンマを観ます。表明においては、それでも製造業は中国が強みとする産業であると唱っており、世界の工場、製造強国への転換と強調しています。大量の原材料を買い(バルクで輸入)、多量の製品を世界に売る(コンテナーで輸出)ことは大歓迎です。海上輸送量が減らない様な、願わくば増える様な「安定的成長」を実現して欲しいものです。とにかく今回の発表内容は従来の「行け行けドンドン」でなく深謀遠慮に移行しようとする意図が観られます。即ち今年のキーワードであるREBALANCE(再均衡)を志向しているように感じます。

インドに行きました、人口13億人、人口が多いのは今後の国力高揚の潜在力となるので注目に値します。デリー空港は巨大で立派に出来上がっており、高速道路も整備しつつありますが、教育を含め港湾などのインフラに不足感を観ました。地方に行けば貧困を見ます。人口が多いだけに、海上輸送貨物の今後の増加に期待したいものです。観光の目玉、Taj Mahalはムガール帝国5代皇帝シャ―ジャハーンが、最愛の王妃ムスターズ・マハル(1931年歿)の為に建てた白大理石の霊廟でチャンスがあれば観光して下さい。1983年に世界遺産に登録されています。

話は変わりますが、日本のオペレーターが運航する近海船隻数推移を見れば、1990年に500隻、2000年に400隻、2010年に260隻、2014年半ばで170隻にまで減ったそうです。日本から海外売船された中古船によるブーメラン現象もありますが、この世界でもREBALANCEを観ます。船型、サイズ、荷動きの変化にシンクロナイズしながら発展してきた近海業界ですが、今まで培ってきた経験とノウハウをもって、往路/復路を日本ベースとする以外に滅多に日本に帰ってこない近海船志向もチャレンジしては如何でしょうか?

野田 著


2015年2月の成約

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
Stavros PBulk45,863 Dwt1994Japan4.00
Copper QueenBulk46,762 Dwt2001Japan7.30

2015年3月の成約

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
African SunBulk45,208 Dwt1994Japan3.80
Storm RangerBulk45,700 Dwt1995Japan4.50
Delta RangerBulk43,100 Dwt1995Japan4.30
Rochester CastleBulk45,300 Dwt1997China3.35
Arion SBBulk45,916 Dwt1997Korea4.85
Glory AceBulk46,600 Dwt1999Japan6.20
ValopoulaBulk45,578 Dwt2000Sebu6.10
CMB BiwaBulk53,505 Dwt2002Japan9.40
Ramada QueenBulk46,400 Dwt2005Japan8.65
上記売買船価は、マーケットにて報告されている数字であり、実際の売買船価とは異なる場合があります。
このレポートに関するお問合わせは下記まで:
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平野 光男 / 野田 禎造

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