Home > Column > 2015 Vol. 3 Print this page
コラム
2015 Vol. 3 PDF 版



ドライマーケットが長らく低迷しています。世界の海上荷動きは増えているが、それ以上に船腹量が増えているようです。今まで何度となく申し上げてきましたが、世の中何事も「沈みつ、浮きつ」、海運も例外ではありません。市況回復にはまだ時間がかかるというのが通説の様ですが、昨今のGEOPOLITICAL/REBALANCINGを背景に間もなく海運市況も上向いてくるでしょう。株式市場はさておき、為替(円安)と低金利は現状維持であって欲しいものです。

日本も含めて、世界は米国主導で推移してきました。米国の価値観で世界の民主主義に関与してきましたが、これも限度があるように見受けます。世界の警察官たるには費用もかかるし、米国国民の負担にもなります。これ以上の価値観の押し売りはお止めになって、上向きトレンドの自国の景気増強により御尽力願いたいものです。欧州もEUで一体化した大きな経済圏ですが、域内での実力の差が歴然としてまとめ切れていません。世界のオピニオンリーダーとは言い難し。依然として注目すべきは中国でしょう。中国主導のAIIBは野球で云えば2/3塁打で打点をあげたのでしょうが、これからの推移を観る必要はありましょう。足元ではいろいろ問題を抱えている筈です。年初に中国の製造業景況が悪化(製造業購買担当者景気指数―PMI)、節目の50割れしたのは一寸気になります。国内経済の質をもっと高めて欲しいと思います。先日、ロシアのモスクワとサンペトロブルグに行きましたが、何れも大都会で殆どヨーロッパ先進国と変わりません。景況を肌で感じるに至りませんが、やはりオピニオンリーダーとは云い難いと想われます。要するに冷戦前とは異なり世界秩序は複雑化しているのです。

近年、日韓、日中関係がギクシャクしておりましたが、徐々に雪解けしつつあるのではないでしょうか?歴史認識云々云われますが、戦後においては貿易、技術、文化の分野ではお互い良い交流をしてきた筈で互恵平等なのです。民間外交を先行すれば政治問題は解決します。
以上がGEOPOLITICALであり、世界はREBALANCE途上なのです。要するに、小さな地球で各国が仲良くすれば物流は増え、その途上で一寸したきっかけで世界の景気が好転すれば、船腹過剰は即解消し、海運市況は急激に改善されるのです。トンネルの先に明かりが見えています。

話はミクロになりますが、オリックスが撒荷積み船を21隻発注、600億円投資とか……これは明らかに投資です。出口(EXIT)が3年以内としての読みでしょうか?足元過剰船腹の中、トンネルの先に明かりが見えていると読んだのでしょう。しかし、チョイと違和感を感じます。ファンドによる投資資金が海運業界に流入しだして、SUPPY/DEMANDを崩す現実がありました。今治造船が大型ドックを新設する発表がありました。これは需要に対応したものでしょう。中国/韓国と競合出来る造船所だけに、せいぜい気張ってやって下さい。ツネイシがインドネシアに造船所を新設する発表がありました。かかる事業は今後、日本の大手造船所では出来ないのでしょう。せいぜい気張ってやって下さい。何れも実需に基づいた投資であれば違和感は感じません。

野田 著


2015年4月の成約

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
Orchid OceanBulk45,300 Dwt1994Japan3.80
Amber HaloBulk45,292 Dwt1995Japan3.90
Sea RoseBulk45,700 Dwt1995Japan4.50
Colchester CastleBulk45,300 Dwt1996China4.10
Aristea MBulk45,584 Dwt1997Korea4.70
KiteBulk47,195 Dwt1997China4.40
TMS MariaBulk52,400 Dwt2001Japan7.50

2015年5月の成約

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
AgiaBulk45,296 Dwt1994Japan3.50
CoposaBulk46,500 Dwt2002Japan6.80
Huarmey QueenBulk46,412 Dwt2006Japan9.00
上記売買船価は、マーケットにて報告されている数字であり、実際の売買船価とは異なる場合があります。
このレポートに関するお問合わせは下記まで:
極東海運実業株式会社
〒103-0013
東京都中央区日本橋人形町1-1-11 日庄ビル5階
Tel:  (03) 3664 8111
Fax: (03) 3664 8233
Email: mail@fest.co.jp
平野 光男 / 野田 禎造

Get Adobe Reader PDF ファイルをご覧になるには Adobe Reader が必要です。